ポポやん
つい最近のことだ。
館林稽古の日だったので道場近くのコンビニでコピーをしていたら、
何やらレジで店員とおじさんの客が揉めていた。
あまりに大声だったので思わず振り返り様子を眺めた。
大声を出しているおじさんは40才後半~50才前半くらい。
おばさん店員に向かって凄い剣幕で怒鳴っている。
「いい加減にしろ、こら!これじゃないだろうが!!」
おばさん店員「すみません、すぐにお持ちしますから」
と言って店員は何やら取り替えにいった。
何があったか分からないが、しかし大声でいうオヤジだな、と思いながら
私はコピーを継続していると、そのオヤジの態度に怒った別のおじさんが
オヤジに注意をした。
「お前こそいい加減にしろ。」
するとオヤジは
「なにぃ~。てめえ表へ出ろ!」
おじさん「出ないよ」
オヤジ「じゃあ外で待っててやる。覚悟しろよ」
と言ってオヤジは入口前で自分が乗ってきたのであろう自転車にまたがり、
腕組みをしておじさんを待ち構えている。
こいつはややこしくなった。
私は物の成り行きを眺めていた。
喧嘩にはならないだろう、と思っていたが、おじさんが店から出ると
オヤジは完全に喧嘩腰でおじさんに向かっていき、一触即発状態に
なってしまった。
まずい、と思ったので私も店を出、中に割って入った。
オヤジは飛び掛かりそうな勢いなので
私はオヤジの胸倉を掴んで制止させた。
『おじさん達やめなさいよ。』
私が言うとオヤジは
「何だおめえは!」
『喧嘩なんかしても仕方ないでしょう。おじさんも帰っちゃいな。』
私は正義の側のおじさんに向かって言った。
おじさんは
「すみません。」
と言いながら軽トラに乗り込もうとしたらオヤジが
「おめえ、逃げるんか。この野郎!」
と言うので
『あんたもいい歳してしつこいんだよ!』
と言ったら
「なにぃーーー!誰がいい歳だ!!」
と言ってオヤジは益々怒り出してしまった。
しまった。
終焉させるどころか火に油を注ぐような事を言ってしまったと
後悔しながらそれでも何とかオヤジをなだめすかしていたら、
今度は正義のおじさんが軽トラから小さなハサミを取り出し、
「やんのか、こらーー!」
と言って殴りかかってきたので、今度はこっちかと思い、
『おじさんも早く帰って。何してんの!』
と制止させた。
しかし、今度はハサミを見たオヤジが黙っおらず、
ハサミを見て興奮したのか、
「やれるもんならやってみろーーーーーー!」
と怒鳴りながら近寄ってきた。
するとおじさんはまたまた軽トラの中に入り、帰るのかと思いきや、
今度は木を切るようなバカでかい大きなハサミを両手で持ちながら
「うおおおぉぉーーーー」
と言って相手の首めがけてハサミをあてがいにきた。
あぶねぇ!
っていうか何でこんなハサミが出てくるんだ!!
と思いながら急いでおじさんを制止させた。
ふと周りを見ると結構な人だかりである。
あの人これをどう治めるんだろう・・・、そういう気がひしひしと伝わってくる。
このオヤジ等のお互い一向に引かない態度に
辟易しつつもこうなったら最後まで間に入るしかないと思い、
中に割り続けた。
私は
『おじさん、相手にしてないでもう帰った方がいいですよ。
とりあえず車に乗って!』
と言っておじさんを強引に運転席へ入れた。
後ろでピーチクパーチク何やらオヤジがほざいているが関係ない。
おじさんは
「ご迷惑をお掛けしました。」
と言って軽トラを発進させようとした。
ふとドアを見ると、
「○○造園」
と書いてある。
なるほど。だからあんなハサミが出てきたのか・・・、と納得していたら
その私の隙をついたオヤジが
「おらぁーー!」
と叫びながら軽トラにジャンピングして蹴りかかった。
しかし、その反動でオヤジは道端に叩きつけられた。
するとまたもや頭にきたおじさんがその倒れたオヤジをめがけて
軽トラを突進させてきた。
うぉッ、危ない!
私は倒れているオヤジの背中を思いっきり引っ張って横へ寄せた。
叩きつけられた影響か、オヤジは目を白黒させている。
轢く気はないのであろうが、全く終わらないオヤジの戦いに呆れ過ぎて
言葉も出なくなった私は身振りでおじさんに帰れと伝え、
おじさんもようやく帰路についた。
オヤジは去っていく軽トラに向かって何やら吠えていた。
私はもう知らん、とコピーの続きをしに店内へ入ろうとしたら、
オヤジが私に近づいてきて
「おめぇ、さっきからおじさんおじさんうるさいんだよ。
俺はそんな歳じゃないんだよ!」
オヤジは禿げている。
『そうですか。すみません』
と言いながらオヤジをちょっと小突き私は中へ入った。
店内へ入ると店員のおばさんが
「どうもありがとうございました。助かりました。あの人いつも来るのですが
何だかんだ言ってお店を荒らしていくんです。
今だって抽選で当たったベビースターを1個持っていったら
そのベビースターじゃないって言って怒り出したんです。」
との事だった。
そしておばさんの怒りは段々エスカレートしていき、一緒にいる若い
男性店員へ矛先が向いてしまった。
「大体あんたもボーッとしてないでお客さんのお手伝いをしなくちゃ
ダメでしょう!!全く。近くに空手道場があるから鍛えてきなさいよ!!」
と責められてしまった。
悪いのはあのオヤジなのに・・・。
私は変な疲労感を感じつつ、道場へ向かった。
その日の稽古後。
私は最後まで残っていたK・AとS・K、S・Kのお母さんにこの顛末を話した。
するとK・Aが
「先生、それってどうせポポやんですよ」
と言ってきた。
誰?と聞くとあの界隈では有名な人物らしく、Aの言ったポポやん像は
今日私が会ったあのオヤジのままだった。
Aは友人達と以前自転車で走っている時、ポポやんと遭遇したらしく
「ポポや~ん」
と野次ると
「こらーーー!!」
と言いながら追いかけ回され、内一人は捕まりこっぴどくやられたらしい。
その時の様子をAは、
「以上に速いんです、ポポやん。相手はボロいママチャリでしかも
座りながら漕いできて、こっちは立ち漕ぎでギアもあるのに
捕まってしまったんです。元競輪選手という噂もあるくらいです!」
と興奮しながら話していた。
確かにポポやんママチャリだったなぁ、と思いだしているとAは
「それよりも・・・」
何?と聞くと
「ポポやんは自分がポポやんて言われているのを知っているんですよ。
何故か知っているんですよ。それが怖いですよー!」
と言っていた。
確かにそうだ。
ポポやんて言われて追いかけているわけだから。
こればっかりはポポやんに聞いてみないと分からんねぇ。
まぁ私は二度と会いたくないけど・・・。
館林の皆さんもポポやんにはお気をつけて。
それよりも私はポポやんというあだ名の由来が知りたいけどね・・・。
おしまい