白洲次郎 part2

前回に引き続き、白洲次郎の話をしたいと思う。
私がこの白洲次郎を好きなのは、多分性格的に
共感出来る部分があるからだと思う。
将来、こういう風になりたいと思う自分の理想像に
白洲次郎はぴったりだった。

何年か前、親父と話していた時、私は白洲次郎の話をした。
すると、知らないと思っていた親父も
白洲次郎を好きだったことが分かり、
2人で酒を飲みながら白洲次郎の話を夜通ししたことがあった。
それからというもの親父と私は白洲の真似をし、ある事をしているのだが、
それは秘密ということで(笑)。

話が逸れたが、では白洲次郎の話を1つ。

戦後間もない頃。
白洲は10年振りにイギリスに行った。
当時を懐かしみつつ、自分の足跡を辿るかのように各地を見て回った。
その晩、白洲は昔行きつけのバーに足を運んだ。
外観は何も変わっていないー。
白洲は入ってみた。
中には大勢の人がいたが、昔よく見た顔もいた。
内装も何人もいるウェイターも昔のままだ。
ウェイター達は入ってきた白洲を見ても、何も反応しなかった。
一瞥し、すぐに違う客の仕事に取り掛かっていた。
『覚えていないか・・。仕方がない。もう10年以上経っているんだから・・・。』
白洲は物寂しさを感じつつ、一人カウンターに腰を下ろした。
昔ここでは頼む酒は決まっていたが、今は何にするか悩んでいると、
横からスーッと手が伸び、酒が出てきた。
見ると昔ここで飲んでいたウィスキーだ。
驚き、顔を上げた白洲はウェイターを見た。
立ち去ろうとしたウェイターは後ろを振り返り、白洲を見、
小さくウインクし、そのまま何事もなかったかのように
次の仕事に取り掛かったという・・・。

粋な話だと思う。
白洲曰く英国人はこういうところがあるらしい。
何年経っていようが、昨日もあっていたかのごとく
立振る舞うらしい。
やるな、英国人!
そういえば、これに似た話は私も持っている。

私の行きつけのラーメン屋の話。
(話のグレードが一気に落ちるが)
大学生の頃、八王子に住んでいた私は毎日行っていた
ラーメン屋があった。
私は今でもここのラーメンが一番好きだ。
美味いラーメンはたくさんあるが、毎日食べたいとは思わない。
しかし、ここのラーメンは毎日食べたくなるのだ。
日曜は定休なのだが、もう食べたくて仕方がない。
月曜は飛びこむように食べに行ったものだ。
ラーメン屋の名前は味一。
カウンター7~8席、テーブルが2つしかない小さな店だ。
50歳くらいのおばさんが作り、もう一人のおばさんが片付け等をしていた。
私はいつも
『学割ラーメンと半ライス』を頼んでいた。
学割ラーメンは超大盛りで500円。
ラーメンを食べる時ライスは頼んだことが無かったが、
ここでラーメンと一緒に食べるライスの美味さを知った。
あまりにも毎日行くもんだから、おばちゃん達も顔を覚えてくれ、
私が暖簾をくぐると、
『いつものねー。』
と注文せずとも頼めるようになった。
そしてある時は
『今度新作を作ってみたから味見してくれない?』
と無料で食べさせてくれたりもした。
温かい店だった。

味一に行き始めて2年程経った頃。
私は八王子を離れることになった。
今日が最後だという日に味一に行った私はおばちゃん達に
『実は引っ越しするんで今日が最後になっちゃった。
また来れたら来るから。』とだけ伝え、
この店を後にした。
私がお金を置いて出て行こうとすると
『お金はいいよ。今までありがとね。』
とおばちゃん達は言った。

その後私は急遽群馬に帰らなければならなくなり、
それから5~6年、味一に行くことはなかった。

ある日。
群馬で同じ大学に行っていた友人と会い、話している内に
味一にいってみよう、ということになった。
この友人Kも実は味一ファンで、最後の1年くらいは2人で足を運んでいた。
そうと決まれば話は早い。
次の週、私達2人は車で八王子に向かった。
車中、もしかしたらもう存在してないかもな、と2人で
話しながら行った。
何せおばちゃん2人でやっていた店だ。
都合が悪くなって閉めていることも十分にあり得る。
私達は確かめないまま向かったのだった。

店の前に着いた。
暖簾が出ている。
まだやっていることに嬉しさを感じる私達。
ドキドキしながら店内に入る。
白洲次郎ではないが、中は昔のままだ。
おばちゃん達2人の顔もそこにはあった。
おばちゃん達は私達に気付いてないようだった。
『仕方ないよな。もう6年経っているんだから。』
テーブル席に座り、Kとボソボソ話をした。
もう学生ではないから学割ラーメンは食べられない。
大盛にしようか悩んでいると、おばちゃんが水を持ってきた。
向こうが覚えていないのだから親密な顔は出来ない、と
私は下を向きつつ、注文しようとした。
するとおばちゃんがポン、と私の肩を叩き
『お久しぶりね!』
と言ってきた。
驚きながらおばちゃんに
覚えていたの?、と聞くと
『最初は一瞬分らなかったけど。だって体格変わったでしょ?
でもすぐに思い出したわよ。』
とのことだった。
私はトレーニングによりあの頃より15kgは体重が増えていた。
感動する私におばちゃんは
『じゃあ、いつものねー。』
と言った。
もう学生じゃないから学割は・・・と言ったら
『サービスよ』
と当時のままラーメンに半ライスが出された。
ちょっとホロっときながら食べたラーメンの味は
変わらぬ味だったー。

とここまで書いてきたが、
白洲次郎の話とほぼ一緒なのだが、どうもスケールが・・・(笑)。
私の話は何故いつもラーメンばかりなのだろう・・・。

白洲次郎の話はたくさんあるのだが、書いていると
part100くらいまでいってしまうので、ひとまず終了する。
興味を持った方はご自身で調べてみてください。
カッコイイ逸話ばかりですから。
私も白洲次郎を目標とし、これから進んでいきたいと思います。
最後に。
白洲次郎の遺言書を書いて終りにしたいと思います。

遺言書

     葬式無用
     戒名不用

最後の最後まで自分のダンディズムを貫いた白洲次郎は
最高にカッコいい!

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