幻の武術の継承者

今回は日本最強と言われるある流派の継承者の
話をしたいと思います。
この流派、千年の歴史をもち、日本武道の表舞台には一切出てこず、
近年、その存在が明らかになりました。
そして過去においては、なんと宮本武蔵や坂本竜馬なども打ち破った
一子相伝・幻といわれた流派です。
その名を・・・

ー陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)ー

と言います。

この圓明流。
一子相伝ですから、何人子供がいてもその中で継承出来るのは
ただ一人という厳しい掟があり、
この流派を継ぐには生まれた瞬間からの凄まじい鍛錬が
必要とされるそうです。
人を殺める術を教わり日本武道の頂点、いや世界の頂点に君臨する
陸奥圓明流の継承者とはいかなる人物なのでしょうか?
私も興味津々でありますが、3年程前、私の空手後輩により
その人物の居場所が発見されました。

それがなんと、

ここ、群馬の!

太田の!

ある病院に勤務していたというのです!!

ここで少し話をさかのぼります。
まずその後輩から順を追って話したいと思います。
後輩の名は鹿野(仮名)。
東北出身の彼は太田で病院勤務しており、その真面目な性格は
稽古にも表れ、非常に稽古熱心な奴です。
また人懐こい彼は先輩・後輩問わず好かれていました。
私も指導しながら骨のある奴だな、と感じ彼には厳しくあたりましたが、
根をあげることなく喰らいついてくる・・・そんな根性のある男です。
ただその鹿野。
弱点がありまして、とにかくビビリなんです。
凄いんです。ビビリ方が。
23時頃だったでしょうか・・・
ある時、稽古終わりに何人かでコンビニに行きました。
車を降りると先に着いたはずの鹿野がコンビニ入り口から
少し離れた所で立っていました。
ーおい、どうした?中入ってていいぞ!
すると、
『やばいっス、怖いっス』
と入り口を指差しながら小声で言ってきました。
見ると、17~18才くらいのヤンキーが4~5人座っていました。
まさかあれが怖いんじゃ・・・。
すると鹿野は
『入ろうとしたら睨まれたんスよ、やばいっスよ~』
と言うではありませんか。
全然やばくね~。
その時、鹿野は22・3才。緑帯でしたが大会に積極的に出場し、
成績を残していました。
ーお前な、もう少し自信を持ちなよ。一体何が怖いんだ?
『全体的な雰囲気っスよ。絶対やばいっスよ』
と言う始末。
そんな事もありました。

話を戻します。
さて、その鹿野がある日稽古に来ると、
真っ青な顔をしていた時がありました。
具合が悪いなら帰れと言うと、
『押忍大丈夫っス。ただ先生・・・、ご相談したい事があるので
稽古終わったらお時間ありますか?』
と聞いてきた。
私も自主トレがあったのだが、ただならぬ雰囲気なので了承した。
稽古が終わり、一般道場生が帰り、私とトレーニングする5~6人が
道場に残った。
机にいると鹿野が来た。
『今よろしいでしょうか?』
残った連中も何事かと集まってきた。
『皆さんにも聞いてもらいたかったので丁度良かったっス』
私と鹿野、残ったメンバーはいつも最後まで稽古し、互いを知り尽くして
おり、皆仲が良い。鹿野の相談事にはうってつけのメンバーだ。
よし、では

用件を聞こう。

鹿野は真剣な面持ちでゆっくりと口を開いた。
『あの~、先生、陸奥圓明流ってご存知ですか?』
皆顔が引きつった。
残ったメンバーの鈴本(仮名)が、
『知ってるも何もそりゃぁ伝説の流派じゃねえか!』
と言った。一同固まる。
『ハァ~・・・やっぱりなんかあるんすね。その流派、
かなりやばいっスよね~?』
メンバーの栗口が
『その圓明流がどうしたんだ?お前、まさかそこと何かあった訳じゃ
ないだろうな!?』
と聞くと、鹿野が
『喧嘩を売られたんで買っちゃいました。明後日対決するんスよ~~。
どうしよう・・・』
と言った。
その言葉に全員が息を呑み、顔を硬直させた。
要約するとこうだ。
ある日、鹿野が仕事場の病院で着替えていると28・9才のある男が
話しかけてきた。そいつが院内では変わり者で通っている事を
知っている鹿野はあまり相手にしなかった。
すると男は、
『お前、空手やってるんだろ?ちょっと思い切り俺の腹を
叩いてごらん』
と言ってきた。相手にしない鹿野をよそに男は話を続けた。
『俺は陸奥圓明流の正統な継承者だ。空手やってて知らない訳ないよな?』
と聞くので知らないと答えると、だったらどこかで調べて来いと言い、
『俺が本物の武術を教えてやる。俺についてこないか?』
と聞いてくるので、ついていかないと答えると、男は
『なら体に教えてやる』
と言い、鹿野もついそれに乗ってしまったという訳だ。
『だって強そうに見えないんですもん。』
私達は圓明流がいかなる流派か鹿野に話すと、彼は震え上がり、
『やばい、どうしよう?ボコボコっスかね~?』
と言った。
『ボコボコで済めばいいけど・・・』
私が言った。
続いて鈴本が
『圓明流の継承者ってどんな風体なんだ?』
と尋ねた。
『ヒョロいんスよ~。全然強そうに見えないし、眼鏡かけてるし・・・。』
私が
『お前、それが手なんだよ。裏武術の継承者なのだから表向きには
そんな武術やってる風には絶対見せないんだよ。感付かれない為にね。
その人、ヒョロヒョロなんだろ?』
『吹けば飛びそうです』
『怖いねぇー、そのヒョロヒョロさが逆に怖いねぇー。
眼鏡かけてる理由分かるか?』
『押忍分かりません。』
『そりゃ、お前眼光の鋭さを和らげる為に決まってるだろ。』
と言うと、
それまで下を向いていたメンバー全員が一斉に大爆笑した。
言った私も笑ってしまった。
キョトンとする鹿野。
何で笑っているか分からない鹿野に腹を抱えながら私は言った。
『お前ね、陸奥圓明流ってマンガだよ!』
一同爆笑!!
『えっ??』
『修羅の門っていうマンガに出て来るの!主人公が陸奥圓明流っていう
古武術の使い手としてね。』
『マジっスか?』
『お前知らなかった?空手やってる奴そのマンガ結構見てるぜ。
確かにその男嘘ばっかりじゃないな。
だって俺ら全員陸奥圓明流知ってるもん!』
笑いが止まらない一同。
『お前がさ、何言い出すかと思ったら真顔で陸奥圓明流知ってますか?って
聞いてくるからもう可笑しくてよ。その瞬間みんなで口を合わせた訳よ。』
『ひどいっスよ~。』
鈴本が
『ホントこらえるのに苦労したよ。っていうか普通分かるだろう?
それにそいつの腹叩けばよかったんだよ!』
『すぐに倒れたと思うけど!』
栗口が言った。
鹿野は
『何だ、もう~。ずっと眠れなかったんスから~。だってあいつ何か
俺は振動で相手を倒せるとか何とか言ってましたよ。』
私が
『それはマンガで出てくる圓明流奥義・無空波ってやつだよ。でも、そこまで
知ってるって事はもしや本物なんじゃ・・・』
と言うと、
『マジっスか!?』
と聞くので鈴本が、
『だからすぐ信用するな。嘘に決まってるだろ。』
と言い、
三度大笑いしたところでお開きとなった。

鹿野が帰った後、私達は身支度を整えながら先程の話を思い返した。
私が
『でもな、陸奥圓明流の継承者ってよく恥ずかしげもなく言えるよな?
もし、鹿野が知ってたらどう返したんだろうな、そいつ』
と言うと、皆、
『確かに。ある意味そいつ最強ですね。陸奥圓明流の継承者って
言い切ってますもんね。』
『しかも腹叩けって言ってるからな』
『ホントに叩かれたら倒れるんでしょうけどね』
『その精神凄いですよね』
『世の中、強い奴いるねぇ~』
『会ってみたいですね、そいつに。』
『陸奥圓明流の継承者か?』
『押忍』
『確かにな。顔見たいよな。陸奥圓明流の継承者・・・』
                                        おわり

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コメント

佐藤先生。読みました。かなりうけました。あの頃がフラッシュバックしてきました。あの時はマジで陸奥えんめい流について全く知らなかった・・・。人を殺める最強の空手・・・陸奥えんめい流。まさか漫画の流派だったとは夢にも思いませんでした。結局、その陸奥えんめい流さんから決闘を申し込まれたが、実際は決闘は実現しませんでした。なぜって?それは・・・「お前は陸奥えんめい流の真実をしっているか?俺の陸奥えんめい流の全力を発揮するとお前を殺してしまう・・・。暴走した力は誰にも止められない・・・。だから俺が勝つのが当然だし、お前に勝っても自慢にならない。俺が倒すべき男はただ一人!・・・。」といって結局、自分ではなく、自分が当時勤めていた病院の上司(極真黒帯)に決闘を挑んだそうです。その後はどうなったか知りません。ちなみにその陸奥えんめいさんは普通の顔で「決闘」とか「陸奥えんめい流の継承者だ!」などと、いつも言っていました。後に真実を知った自分は「こいつマジで言ってんのかな?」と思うようになりました。何も知らなかった自分は恐怖感で一杯でしたが、今思うと社会人で、そのような人が存在してしまうことが不思議な世の中です。いい経験をさせてもらいました。

ちなみに陸奥えんめい流の道場は新田町にあるそうです。師匠とその人と、もう一人の三人でやっているそうです。少数精鋭とのことでした。以上報告です。

こんにちわ。館林道場のI.Tです。ぼくも、修羅の門の愛読者です。。。陸奥圓明流の継承者は本当にいたのでしょうか??       ぼくは、修羅の門そして北斗の拳、ドラゴンボール、スラムダンクは全巻そろって。います。はじめの一歩も集めています(^0^)/

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